2004年09月09日
土讃線「坪尻駅」を訪問してきた。
この駅は,全国でも屈指の秘境駅として有名である。辺りに人家はなく,四方を山に囲まれ,舗装された道路に出るためには険しい山道を登らなければならない。日常的に駅を利用している人は,1人とか2人とか言われており(昔,探偵ナイトスクープが調べたらしい,今はどうか知らない),駅が存在すること自体が謎な駅である。
また,アニメ「センチメンタルジャーニー」に登場したことでも有名らしく,田切駅(飯田線)や海ノ口駅(大糸線)のような,いわゆる聖地巡礼先としてもそれなりに有名らしい。
そんな駅に行ってきた。
まずは,駅の全景。
もう駅舎を見ただけでも,秘境感が漂っている。これが正面入り口である。
ということはどういうことかと言うと,駅前が雑草生え放題の広場(?)となっているわけである。
駅前が閑散としているとか,そういうレベルの話ではない。ここには雑草しかない。しかもすぐに山があって,これ以上先には進めない。そんな駅前である。
駅自体は,普通の無人駅の佇まいで,待合室とトイレがある。
水道は外にあるが,ハンドルが取れていて,ひねることが出来なかった。
待合室には,おきまりの駅ノート。
他に緊急避難場所の案内もあるのだが,その避難場所というのが下野呂内公民館となっており,その距離なんと10km,2時間程度と書かれてある。とても正気の沙汰とは思えない。どう考えても10kmも歩いて避難できない。絶望的である。
さて,駅界隈から抜け出そうと思うと,まずは踏切を渡り,山道の方へ進む必要がある。
いくら駅が秘境といえども,土讃線の線路なので,たまに列車が通る。特に特急がものすごいスピードで通過していくので,駅に貼ってある特急通過時刻表をよく見て踏み切りを渡らないと,大変なことになる。もちろん遮断機や警報機なんてものは無く,突然特急が現れて,突然去っていく。人がいないからこそできる技である。というかむしろ,放置されているのに近い。
踏み切りの向こう側から,駅全体を望む。
山道の入り口に差し掛かる。ここに,坪尻駅名物(?)の廃屋があった。なんとも不気味である。
廃屋の中にはなぜかドラムセットがあった。だれかここで合宿をしていたのだろうか。青春デンデケデケデケである。
なにはともあれ,この山道を登っていくと,約20分で国道32号にたどり着く……はずである。そう駅舎の中の張り紙に書いてあった。しかし現実は……
倒木ドーーン。
駅ノートでまだ誰も言及してなかったので,この前の台風で倒れたのではなかろうか。険しすぎる。
倒木は廃屋の方に倒れかかっているので,近いうちに木が滑って廃屋は崩壊するのでは……。地盤もやばそうだったので,国道に出るのはあきらめて引き返すことにした。
ちなみに,ここを通らないと駅から抜け出すことは出来ない。避難も出来ない。
そこら辺にいる訳の分からない虫たちと(不本意に)戯れているうちに,帰りの列車の時刻が近づいてきた。
琴平方面のトンネルを抜けてきた下り列車は,一旦駅を通り過ぎ,今度はバックして駅前の引込み線に入線する。この駅は,スイッチバックの駅としても有名である。
名残惜しく列車に乗り込み,坪尻駅を脱出する。ワタシと入れ替わりに駅に降りる人はいなかった。
すでに夕方の16時台だが,おそらく本日の駅利用者はまだ2名そこそこであろう(ワタシが来たときに,入れ替わりで帰る人を目撃した)。もっとも,この状況では,日常的に利用できる人がいるはずもない。
あゝ凄いところだったなあ,と思っていると,次の箸蔵駅では高校生が大量乗車してきて,さきほどとはうって変わって喧騒に包まれた。
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追記:その後,再び坪尻駅を訪問しました → 坪尻駅・再訪問
http://www.nekopla.com/nnk/mt3/mt-tb.cgi/114
2002年5月の鉄っぽいお出かけの記録です 秘境駅とスイッチバックで有名な坪尻駅に行ってきました。 琴平から65+58の気動車で坪尻駅到着。 私の乗ってきた列車は、坪尻駅で上り普通列車と交換します。上り普通列車は坪尻駅通過のものが多く、この普通列車もそうです。... [詳しくはこちら]
さてさて、突然モノポリーがやりたくなり、 いてもたってもいられなくなり、プレステ版モノポリーをゲット。 久々にやるが、やっぱ面白い。 そかし、スーパーファミコンのモノポリーのほうが面白かった。 操作性も単純でスーファミのほうが上、それよりなにより、 交... [詳しくはこちら]
坪尻レポート面白かったです。
駅は、おそらくスイッチバックのためだけに作られたものと思われ。
秘境駅のサイトのおいてあるプロバはJR系のサイバーステーションw
どうもです。
スイッチバックのためだけとなると,今はもう駅がある必要は無いわけですなあ。
あくまで噂ですが,廃止の噂も出ているようで……。
こんにちは。僕も一回坪尻駅に行ったのですが、あそこはすごいところですね。その神秘的な雰囲気に僕は深い感動を覚えました。また行くことができればなぁと思っています。僕のホームページではJR四国のことについて紹介しております。坪尻駅のことについても紹介しておりますし、JR四国のいろんな列車について紹介いたしております。もしよければぜひお立ち寄りください。ご来館お待ちいたしております。
>JR四国レイルウェイファンさん
コメントありがとうございます。
たしかに神秘的な雰囲気というのを感じますねえ。
ワタシもまた行ってみたいものです。
ホームページの方も見させてもらいました。
いやぁ、懐かしい。
この近くに住んでたので、10年間この駅を利用させてもらいました。
踏切を渡って、廃屋の方に向かわずに左の方に伸びている道(線路沿い)を進んだ先にあります。2kmほど先ですが。
幼稚園の頃から通ってましたが、道にはヘビなどがしょっちゅういますし、崖崩れもよく起こり、幅が20-30cmぐらいの道になったり、冬の夕方は懐中電灯なしには帰れない(谷に落っこちる)ようなサバイバル状態でした…。
おお、元住人の方ですか。
貴重なコメントありがとうございます。
あっちの線路沿いにも道があったんですね。奥までは行ってないですが、たしかに線路との間に柵があって、人が通れるようになっていた気がします。
国道に出る道の方ばかり気にしてましたが、山間からあの駅に通っていた方がいたとは……すごいです。
実家があるのでたまには帰省してます。昨年も7月には行ったかな。かなり草が生い茂っていて昨年その道を通ったのはごく数人でしょうね…。
あと、この駅からは4つ道が存在します。
今まで出てきた2つと駅前を右に行き山を登る道、線路を渡らずにそのまままっすぐ行く道と4つあります。
あの廃屋は僕が学校に通っていた頃から廃屋でした。通っていたのは1970年代半ばから1980年代半ばでした。
では、またのお越しをお待ちしております。
なるほど。興味深い情報ありがとうございます。
道が4つもあったとは驚きです。どこも草が生い茂っていて気づきませんでした。
また行く機会があれば、その辺も見てみたいですね。
廃屋がずっと廃屋というのもおもしろいです。
坪尻駅 周辺には、寺、神社、茅葺き屋根などは
ありますか。
>大阪市民さん
坪尻駅周辺には、本当に何にもありません……(人家すら山道を進まないとありません)。
周辺といえるかは微妙ですけど、駅前の山道を上がって国道に出て、さらに南に3kmほど?歩けば、箸蔵寺というそこそこ有名な寺があるにはあります。
(そこに行くなら普通、隣の箸蔵駅で降りるでしょうけど)
周辺は、こんな感じの地形です。
http://www.mapion.co.jp/c/f?uc=1&grp=all&nl=34/02/44.828&el=133/50/02.833&scl=25000&bid=Mlink
地図見ると、南の方向にも神社マークがありますね。
坪尻駅凄いところにありますね~
実は以前から、坪尻駅前の雑貨店の廃屋が気になってました。
なんでも、高知、徳島で計6人も殺した犯人が、強盗に
入った雑貨店らしいです。
レポ拝見して、こんな場所で商売をしていれば、強盗に
入られやすいと納得しました(笑)
ちなみにこの雑貨店、強盗に入られた数年後に
廃業されてるようです。
詳しくはコチラ
http://www.wanted-japan.com/jikenfile/1963moriyoshi.html
>くまさん
なんと、坪尻駅の廃屋にそんな事実が!
上の方のコメントで、70年代にはもう廃屋だったとのことなので、年代が一致しますね。
しかし昔は、こんな場所で雑貨屋ができるほど栄えていたのか……?
強盗も鉄道でやってきたんでしょうかw
お久ぶりです。
例の坪尻駅付属の廃屋で起こった、事件のことを伝える
当時の新聞を発見したので、写メってみました。
あの坪尻駅前に、こんな活気のある商店があった事を
今に伝える貴重な写真かもです(笑)
そういえば昔は楕円形のブリキで出来た「でんわ」とか
長方形の「たばこ」とか書いてる看板がありましたね~
今は全く見かけませんが・・・
>くまさん
おおすごい! よくその新聞記事を見つけましたね。
あの場所のどこに栄えられるスペースがあるのかと、疑問で仕方がありませんが、
実際に昔は活気があったんですね~。
盛者必衰という感じで、しみじみしてしまいます。
今から10年前、私は徳島に合宿免許を取得しに行った事があり、用事で愛媛へ行くことになり鴨島駅を出発し阿波池田の手前で間違って下車してしまいました。それから次の電車が来るまで3時間待ちなので時間の許す限り歩き続けました、2時間近く歩き国道のドライブウェーで最寄の駅までの道順を聞きました。そこが坪尻駅だったんです。ガードレールの切れ目から下へおりて行き獣道でした。私は感がするどく、下へ向かう獣道の空間が何か変だと気づきました。それから赤い屋根が見えたのであれかと思い近づいて行くと、急にかなしばりにあい無の状態にあいました。2・3秒くらいしてから気がつくと前方に駅のホームがあり、ホームに上がるとカーテンの閉まった駅長室の横から白髪のお婆さんが出てきてびっくりしました。お婆さんも驚いたみたいで、「何でこんなところに、どこからきたん」という風な顔でした。お婆さんの乗る電車が来たので、気になっていたあの廃墟の事を聞くと「あれか、あれは鳴門で5人殺した強盗殺人犯がたてこもったところじゃ」と言われ、実名まで言って電車に乗って行きました。私はそれから3時間ひっそりとした誰もいない駅で、駅に残されたノートの寄せ書き3冊を読んで次の電車の来るのを待ちました。するとこの駅は以前「探偵ナイトスクープ」でアニメの「天使が降りる駅」
という調査内容で取り上げられた場所でもあり、北は北海道、南は沖縄の若いアニメファンが立ち寄るところでした。ノートの内容によると、廃墟には地下があり女性の下着とかが散乱していたりしたそうです。いずれにしても二度と行きたくはないですね。
>旅人さん
なかなか稀有な体験をされたようで。
たしかに何も知らずにあの駅に降り立ったなら、我が目を疑ってしまうのも納得できます。
ちょうどお婆さんがいたのも、すごいタイミングですね。
(日常的な利用者は2名?だそうな)
ただ最近は、駅に記念スタンプが置かれたり、何も無いのを目当てに訪れる方は増えているみたいです。
私もこのあと2008年1月に3度目の訪問をしましたが、駅ノートを見る限り、年々訪問者は増えている印象です……。
私は地元池田町の乗り鉄です。最近坪尻駅が有名になってうれしく思っています。しかし駅に置いてある記念スタンプが盗まれたり(何ヶ月ぶりかに北海道の駅で見つかりました)、駅ノートが持ち去られたりでファンの常識が疑われることが多くなりました。地元の人ももう少し関心を持っていただければいいのですが。人口が減り、若者が減り、寂れていく一方の町を
坪尻駅を発信元として、元気を取り戻したと思っています。全国の鉄の皆さんぜひ坪尻駅にきていただいて秘境の雰囲気を味わっていただき、せんでんをしてください。でもあまり大勢の人が来ると秘境のイメージが壊れないかと少し心配ですが。
> 南風号さん
どうもはじめまして。
坪尻は最近テレビで紹介されているのも見ましたし,徐々に認知度が増していってる印象です。
調べてみると,坪尻駅でのイベントも結構やってるみたいですね。
坪尻駅記念植樹(2010/3/11):
http://www.jr-eki.com/tsubojiri.htm
坪尻駅「還暦」祝う(2010/1/12):
http://www.topics.or.jp/localNews/news/2010/01/2010_126326016057.html
ただやはり,アクセスの不便さがネックなのでしょうか。
たとえば東北の岩泉線では,臨時で「秘境駅号」なんてのを走らせて盛り上げたりしてますね。
ただおっしゃるとおり秘境さが失われてしまう問題もあるので,難しいところです。秘境のジレンマでしょうか・・・。