2011年07月18日

文学フリマ初参加記

 いつもながら更新が遅すぎるため、もう一ヶ月も前の話になってしまったけど、去る2011年6月12日に開催された 『第十二回文学フリマ』 に "初" サークル参加してきた。サークルと言っても、構成員は私一人だけの個人サークルである。サークル名は "NEKOPLA" で、やってることもそのまんま "ねこプラ" だけど、ウェブとは一味違った体験ができて、非常に楽しいイベントであった。そのときの感動を忘れないように、ちょびっとだけどレポートしておこうと思う。


■入場前

 2011年6月12日、朝8時、伊丹空港。半ば無理やり店番を手伝ってもらうことにした知り合いを連れて、大阪から飛行機でトーキョーに向けて飛び立つ。大阪~東京間は、実は飛行機も新幹線もほぼ同額なので、今回は往路:飛行機、復路:新幹線で乗り物欲を満たすことにする。
 
 手には、Amazon ダンボール。"BX1120"(箱の型番)には、A5サイズの本がちょうど2列分収まるため、今回のイベント用に作成した2種類の本を詰めて持ってきた。ホント、Amazon 箱は何にでも使えてしまう、まさに現代のみかん箱だ!(元ネタは、週刊アスキー5/24号参照)

 ところで、その Amazon 箱を機内に持ち込もうとしたところ、手荷物検査で 「ダンボールの中身は何ですか?」 と聞かれた。私が 「本です」 と素直に答えると、「本!?」 みたいな謎の反応が。Amazon 箱に本が入ってるなんて、当たり前すぎて逆にビックリしたのかもしれない。その後は特に何のお咎めもなかったので、Amazon 箱の機内持ち込みは可能ということで(当たり前だけど)。

 そんな私と Amazon 箱を乗せた飛行機は、野を越え山を越え、1時間ばかりのフライトで、"はねくう" こと羽田空港(誰も言わない)に到着した。イベントの会場となったのは、『大田区産業プラザPiO』 というところで、最寄駅は京急蒲田。赤い電車に乗れば、わずか10分程の距離である。僕らを乗せてひとっ飛び。


 


 近くのコンビニで燃料を補給してから、サークル入場列に並んで開場を待つ。列を見渡せば、まさに "老若男女" が勢ぞろいしており、このイベントの年齢層の広さをうかがい知ることができた。実はサークル参加も初めてなら、文学フリマに参加するのも初めてな私。そもそも即売会への参加自体、10年前に一度だけコミケに一般参加したっきりという超初心者である。

 そんな私にも優しいイベントとのことで、人から伝え聞いてやってきた文学フリマ。まさに聞いていた通りの雰囲気が漂っていたので、ひとまず安心した私であった。


■設営

 午前10時、サークル入場開始。
 
 "NEKOPLA" に割り当てられたスペースは、会場2階の一角。事前にサークル一覧をチェックした限りでは、どうも2階には変なサークルが集められている(隔離されているとも)雰囲気があり、そういうのが好きな私はすでにワクワクし始める。まわりのサークルが何を出展しているのか気になるところであるが、さほど時間もないので、いそいそと設営準備を開始。毎日夜なべして作った手製の本と、ディスプレイ用のポップなんかを、ここぞとばかりにセットする。うん、初めてにしては、なんかそれっぽい感じになったんじゃないだろうか。


 


 そして、なんということでしょう。来るときに本を詰めてきた Amazon 箱が、ディスプレイ用の棚に早変わりしているじゃないですか。というか、まぁ、ただ置いてあるだけという説もある。

 両隣のサークルさんは、片方は同じく初参加とのことであったが、もう片方は場数を踏んでそうな雰囲気のサークルさん。主催の方と挨拶がてらいろいろ話をしていると、「バス好きなら、これあげるよ」 と言って、何でも入ってそうな魔法の箱から、やおら何やら取り出してくれた。それは、


 


 呉市営バスの回数券(本物)と、バス会社の労組がストライキの時に貼る札(自家製の同人グッズ!)

 いやー、なんかよく分からないけど(←ここがポイント)、スゴイ。一気にテンションも上がったところで、ちょうど一般入場の時間を迎えた。主催の方から開場の挨拶があり、拍手と共に開場。パチパチパチ。


■開場後

 開場と同時に、目が血走った人たちが我先にと目当ての薄い本を求めて押し寄せ、会場は早くも死屍累々の様相を呈していた。なんてことはなく、まったりとした出足。"NEKOPLA" はというと、用意したポップが意外と目を引くらしく、チラ見していく人多数。そんな中で、何人かの人は本を手にとって見てくれる。緊張の一瞬。そして、開場約10分にして、記念すべき1冊目をお買い上げ頂けた。わー! ありがとうございます!!

 そして、記念すべき一冊目が売れたという感慨に浸る間もなく、定期的に人がやってきては本を手に取ってくれる。あれ、うちって意外と人気あるんじゃない? なんて自尊に浸る間もなく、忙しく接客に追われることに。

 ここで、今回持ってきた2冊の本に対する反応など。


路傍画報

 

 一応 『文学』 と名の付くイベントなので、文字の全くない写真集は妙な存在なのだが(実際、「これって文学なんですかw」 って質問も何度か受けた)、そんな本を目がけてやって来てくれる人もいるもので。写真が好きな方もいれば、本当にピンポイントで路上観察好きの方もいて、思わぬ同士の登場にうれしくてニヤニヤしてしまう。やっぱりこういうイベントには来てみるもんだなぁ、と実感。

 普段は写真の話を出来る人がまわりにいないので(仕事柄、カメラ好きな人は多いんだけど、写真自体の話はあんまり聞かない)、ここぞとばかりにいろいろと喋りまくる。特に、私の写真を見てすごく面白そうにしながら、話を熱心に聞いてくれたお婆さん。どういう経緯で会場にいたのかは分からないけど、世代を超えて同じ共感が得られることにいたく感動した。買ってもらえるとなお良かったんだけど、それを望むのは贅沢というもの……。

 また、この本は、文フリ取材班の方にも気に入ってもらえて、私と本とのツーショット写真を撮って頂けた。写真が何に使われるのか不明だけど、どうもありがとうございました。


日常⊇非日常

 

 狙ったかのように、イベント前々週の 『週刊アスキー』 に例の記事が掲載されたこともあり、先に書いた通り Amazon 箱を前面に出して本を宣伝。それと共に、今まで集めた 『おみくじ』 をまとめたものを無造作にテーブルに配置するという作戦(これはあまりに無造作だったので、今後改善しないとなぁ)で、集客を図った。手伝ってもらっていた知人に 「おみくじを見ていく人なんているのか(笑)」 と言われてもへこたれず、まだ見ぬおみくじマニアの登場を信じて……。

 そんな展示品のおみくじも、最初こそ触れる人が現れず、知人も 「それみろ」 という感じだったのだが、そのうち手に取ってくれる人も増え始め、やがておみくじをキッカケにおみくじ談義に花が咲くことも。正直、おみくじの話でここまで食いついて来てくれる人がいるとは思ってもみなかったので、この体験はまさに 『感動』 の一言に尽きる。「財布におみくじ入ってますよー」 という人もいれば、twitter で知り合った方からはおみくじの差し入れを頂くなど、そこではまさに私にとっての 『非日常』 が繰り広げられていた。す、すごい……。文フリすごい。

 また、後日談としては、"エキサイトレビュー" の文フリ特集記事 『ゾンビから大豆まで!? 第12回文学フリマで見つけた噂のすごい本!』 において、なんとこの 『日常⊇非日常』 を紹介して頂くという名誉まで頂いた。作った私自身、ひーーーっ! と嬉しい悲鳴を上げている今日この頃である。


■終了

 そして午後5時、会場に響き渡る拍手の音と共に、『第十二回文学フリマ』 は幕を閉じたのであった。さてその時の "NEKOPLA" さんはというと……


 


 そこには 「本日完売」 の札が!!

 この札、お隣のサークルの方の粋な計らいにより、例の何でも入ってそうな魔法の箱から、やおら取り出して貸して頂いた。驚くべきことに、『日常⊇非日常』 は、持参した数を全て売り切ったのであった。また 『路傍画報』 も2冊を残すのみという、売っていた本人も驚く程の売り上げを計上。部数的にも、ちょうど時間内に売り切った感じになり、ちょっと上手いこと行き過ぎてるんじゃないかと不安になるほど。

 ちなみにお隣さんは、『ボルトのすべて』 という本(タイトルうろ覚え)が売れまくっていた。ボルト……どんな内容かは分からなかったが、どう考えても素晴らしい本であることは間違いない。

 今回は、ほとんどずっと店番をしていたため、ゆっくりと他のサークルを回れなかったのが心残りであった。ただ、店先にいると、いろんな人がいろんなことを話してくれるので、留守にして会話の機会を逃すのが惜しかったというのもある。そのうち、一般参加でゆっくり回ってみたいなぁ。


■まとめ

 そんなわけで、初めてのサークル参加は個人的には大成功。次回の文学フリマ(11月3日開催)にも参加するつもりなので、興味を持った方は是非どうぞ。新刊では、例の食品を取り上げるかも。(まだ影も形もないけど)

 最後に、今回の文フリ参加にあたり様々なご助言を下さった方々、また当日ブースまで足を運んで下さった方々、お買い上げ頂いた方々、どうもありがとうございました。楽しかった!


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