2007年02月10日
先日,部屋で探し物をしていると,段ボール箱の中から年代物の計算機が発掘されました。それがこちらです。
・計算尺
・RPN電卓
見た目からして,骨董品の匂いがプンプンと漂ってます。
パッと見た感じでは使用法の分からないこれらの計算機。普段は便利な「関数電卓」を叩いているわけですが,こんなにも素敵な計算機が家にあるんだから,それを使わずにしまっておくのは勿体ない。
ちょうど段ボールから発掘したのも何かの縁と思い,使い方を調べて修得してみることにしました。
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●計算尺
まずは「計算尺」。これは数年前の引っ越しの際,捨てられそうになってたのを救出したものです。
裏には「RICOH」の文字があるので,リコー製でしょう。複写機で有名なリコーですが,昔はこんなのも作ってたとは。
さて,一見するとタダの ものさしのような計算尺ですが,1970年代ごろまで使われていた歴とした計算機らしいです。しかしこれまで計算尺なんて使ったことがないので,使い方が分かりません。
とりあえず本体をチェックしてみます。
いっぱい書き込まれた数字と目盛り。
スライドする真ん中の部分。
同じくスライドする窓みたいなの。
よく見ると裏にも目盛りがふってあります。どんだけ目盛りがあるんだ。
とまぁ,一通り見てみたものの,さっぱり使い方が分かりません。
こういうときは,おとなしくインターネットの力を使うに限ります。いろいろ見てみたところ,計算尺推進委員会というページがかなり詳細に解説されているので,ここを参考に使ってみたいと思います。
まず,計算尺上に多数の目盛りがふってありますが,これらは計算目的に応じて使い分ける必要があるそうです。まとめてみると……
はぁ?
としか言いようがないですが,これらの目盛りを使うと,掛け算・割り算のみならず,指数・対数や三角関数の計算ができるそうです。う〜む,計算尺,奥が深い。
全部使いこなすには相当時間がかかりそうなので,今回はとりあえず,簡単そうな乗算を実践してみました。計算の基本は,目盛りを見ながら尺をスライドさせる動作です。実際の計算の様子を動画でどうぞ。
何やってるか不明だと思いますが,いちおう「2×3=6」の計算をしています。これくらいだと暗算でやった方が早いなどという指摘はさておき,計算しているのに計算しているように見えない,非常にアナログな感じが好印象です。
何かのテストの際には,ぜひこの計算尺を持ち込んで計算したいものです。「電卓持ち込み禁止」ってのはあるけど,「計算尺持ち込み禁止」とまでは,なかなか書いてないだろうし。
●RPN電卓
続いては「RPN電卓」という電卓です。たしか数年前に大学のゴミ捨て場で拾いました。
メーカは「横河・ヒューレット・パッカード」です。
コンピュータ・メーカのHPですけど,昔のHPは計測器メーカでした。そのHPの日本法人と横河電機との合弁会社が,この横河HPです。今はもうないわけですが,大学の実験室ではここの計測器をよく見た記憶があります。
さて,電源を入れると,なんとも古めかしい表示が出現。
こっちのテンキーを使って計算を行うようです。
左側のキーには関数があります。意味不明なキーも多くあり,これを使って簡単なプログラミングが出来そうな感じです。
さて,ここまで見た感じではただのデカい関数電卓のようにも見えますが,いざ計算しようとするとなんか違和感が……。
よくキーを見てみると,普通の電卓とは違って「=(イコール)」ボタンがありません。あれあれ?
じゃあどうやって計算するのかと思い調べてみると,どうやら「=」の代わりにある「ENTER」ボタンを使って計算するそうです。
このような電卓をRPN電卓と呼び,普通の計算法ではなく,RPN(逆ポーランド記法)に従って計算を行うそうな。例によってRPNの説明のページを見て使ってみます。これは計算尺と違って,まだ何とかなりそうです。
基本的な計算法としては,まず数字を2つ入力してから,演算子(+, -, ×, ÷)の入力を行います。「2+3」の場合は,"2"→ENTER→"3"→"+"という風に。
連続した計算が得意のようなので,ためしに「20-10.3×(3.2+5.4)=-68.58」を計算してみました。
普通の電卓だと面倒そうな計算ですけど,RPN電卓上では,
"20"→ENTER→"10.3"→ENTER→"3.2"→ENTER→"5.4"→"+"→"×"→"-"
という風に,括弧を使わずに計算できます。う〜ん,これはなかなか便利かも。
押した心地もさることながら,形も格好良いし,部屋のインテリアにもいい(?)このRPN電卓。ただ問題は,本体がデカいことでしょうか。
このRPN電卓に関しては,アメリカでは現在もHP製のものが売られているようで(HPのページ),これなら今でも購入できるようです。技術系の計算をする人に愛用者が多いんだとか。
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そんなわけで,ずっとしまいこんでいた二つの古い計算機の使い方が分かりました。ちゃんと使いこなすにはまだまだ時間がかかりそうですけど,両計算機とも,不思議な魅力を持った計算機でありました。
http://www.nekopla.com/nnk/mt3/mt-tb.cgi/375
コネタ道場入選おめでとうございます。
計算尺愛好家&RPN電卓愛好家の自分としては、今回のネタが採用されたのは、とてもうれしいです。
計算尺推進委員会のページをご覧になっているようですので、すでにお気付きかもしれませんが、計算尺の滑尺が表裏逆になっていますね。
三角関数の計算を多用するときはこれでも良いのですが、DF尺とCF尺、C尺とD尺がそれぞれ向かい合うのが普通の状態です。
またカーソルも、ばねの付いている方が上、ばねの無いほうが下になるようにつけるのが、通常の状態です。
無線関係の試験では今でも、電卓持ち込み不可、計算尺使用可だそうですので、機会がありましたら挑戦してみたらいかがでしょうか。
いや~、なっつかしい!私もついこないだまでは、
セコい計算はBASICの組める電卓を使うとりました。
>SaYoさん
計算尺愛好家&RPN電卓愛好家という,まさにこの記事にピッタリな方にコメントいただけるとは。ありがとうございます。
滑尺の裏表,これは気付きませんでした……。たしかによく見てみると,逆になってるのが分かりました。カーソルの上下も,これだけの写真から判別いただいて恐れ入ります。
発見されたときのまま,よく分からず触ってたんですけど,裏表入れ替えたりとかいうテクニック(?)もあるんですねえ。
いつか計算尺持ち込み可の試験で使えるよう,これからも精進していきたいです。
あ,恥ずかしいので,正しい状態に戻した計算尺も後で追加しておきます……。
>リード(しおじぃ改)さん
コメントありがとうございます。BASIC組めると便利ですよねえ。
ワタシもこの電卓ではないですけど,BASICの組めるシャープのポケコンを愛用してます。
おー!計算尺!なつかしいなあ
ビデオでのカーソルの動かし方が違いますが、もうどうでもいいですよね。1976年ころまで工業高校では必須でしたよ。
>昔の人間さん
なるほど,昔はみんな習うものだったんですね。
全然知らなかったので,初めて見たときは衝撃でした。
カーソルの動かし方,間違ってますか……。なにぶんテキストを見て手探りで使ったもので,申し訳ないです。もう少し精進します。