最近ハマっているモノのひとつに、「ぴたん機」がある。ぴたん機とは(私が勝手にそう呼んでいるだけなのだが) 「壁にぴったりハマっている自販機」の略称である。
これまでに見つけたぴたん機の一部は、前回の同人誌「まちかどフリップフロップ」でもネタにしたのだけれど、ここで改めてその様子を観察してみたい。
ぴたん機がどんなものなのかは、写真を見ると一発で分かるであろう。これが、ぴたん機である。
元は通路があったと思われる場所に、ぴったりとハマった自販機。自販機に向かって左側は壁で、右側は塀になっているので、見事にジャストフィットしているのが分かると思う。
これも分かりやすいぴたん機である。三つ並べてぴったりという辺り、かなり実現難易度が高い、奇跡的にぴったりな物件である(三連ぴたん機)。
ぴったりハマるのは壁と壁の間だけではない。このように、電柱と家の間にぴったりとハマったぴたん機もある。
そして自販機だけではなく、時にはゴミ箱も一緒にぴったりハマるのだ。
自販機の横幅はもちろんフリーサイズであるわけもなく、数種類のサイズの中から選べるだけのようである。それなのに、このぴったり感。自販機のオーナーが設置場所の幅を測定をしてみると、偶然にして自販機の幅とぴったりだったのである。そのときのオーナの驚きと喜びっぷりは想像に難くない。このようなプチ奇跡を追体験できるのも、ぴたん機の魅力の一つなのである。
ところで、このぴたん機にもいくつかの種類があり、分類が存在する。
まずは一つ目、「人工ぴたん機」を見ていこう。人工ぴたん機には以下のようなモノがある。
これはいかにもぴたん機であるが、よく見るとぴったりハマっている部分の壁が妙に新しい。おそらく、自販機をぴったりハメるのを想定した上で新しい壁を作ったものと思われる。
このぴたん機は分かりやすい。向かって左側のブロック塀が半端な位置で切断されていることから、元々は一続きの塀だったものを、自販機をハメるためにわざわざ切り取ったというのが分かる。
これは一見すると判別が難しいが、トタンの様子から推測するに、元は壁だったところに穴を空けて自販機を設置したものと思われる。
以上の例から分かるように、自販機の幅に合わせて壁を切り抜くなどして人工的に作られたぴたん機、それが人工ぴたん機なのである。
さて、そんな人工ぴたん機と対照的なのが、「天然ぴたん機」である。天然ぴたん機は、そのハマり方も天然なのだ。
限られたスペースに、真にぴったりハマっている自販機、それが天然ぴたん機。その上手いハマりっぷりを見ると、よくやった! と思わずにはいられない。
このぴたん機は印象的である。そこは明らかに松本さんちの門であり、門を犠牲にして自販機が設置されている。天然ぴたん機のお手本のような存在である。よく見ると、ゴミ箱は溝にハマっている。
最後に紹介するのは、たばこ屋のぴたん機。向かって左が天然ぴたん機である(右のは普通の自販機)。そして中央のシャッター部分は、たばこ屋のおばちゃんが対面販売をする売場であろう。たばこの自販機にぴったりと挟まれた、たばこ屋のおばちゃん。そんな愉快な風景が想像できる、美しい配置であった。
ここで紹介しているようなぴたん機は、実はそんなに珍しい存在ではない。少し気にしながら散歩をしていれば、きっとすぐに見つかることであろう。私たちの日常生活のすぐそばに、ぴたん機はぴったりと寄り添いながら存在しているのである。