Microsoftの製品に「PowerPoint」(パワーポイント,通称パワポ)というものがあります。サラリーマンや学生の方にはお馴染みだとは思いますが,簡単に言うと,スライド発表用の資料を作るソフトウェアです。特にデザインを気にかけなくとも見栄えの良いスライドが作れる上,アニメーション機能を使えばOHP時代には出来なかった華やかなスライドも簡単な操作で自在に作ることができてしまいます。
かくいう私も,大学での講義から卒論発表まで,数々の場面でパワーポイントのお世話になってきました。慣れないうちはとにかくキレイで見やすいスライドを作ろう,と思ってやってるわけですが,何度もスライド作りをしているとだんだん飽きてきて,そのうちに「遊び心」を入れてみたくなるわけです。見てる方もつまらんだろうから,変なキャラクタを入れてやろうとか(付属のクリップアートには,かなり変なイラストが多数収録されています),ここでこんなアニメーションがあればビックリするだろうなぁとか(使い道の分からないアニメーション効果が多くあります)。そんなことを考えていたとき,「この豊富な機能を使えば,もしかするとパワーポイントでゲームが作れるんじゃないか?」と思ったのが事の始まりです。
このページでは「ゲーム作りに使えそうなパワーポイントの機能」を紹介したいと思います。実際に私の作ったしょうもないパワーポイントゲームで遊ぶことも出来ますが,これは本当にしょうもないので,やる気のある方は自分で作ってみるのも一興でしょう。Microsoftのページではフリーの「PowerPoint Viewer」が公開されていますので,PowerPointの製品を持ってない方にも遊んでもらうことができます。
まずは,こんなものが作れるという例として,私が作ったスライドを置いておきます。(超しょうもないですので注意)
PPTアドベンチャー
・ダウンロード(ZIP圧縮,約800KB)
「スライドショーの実行」をしてもらえば,ゲームが始まります。
ゲーム中に登場する「肉ジャンプ」「風呂」は,私が過去に作ったゲームのパワーポイント移植版です。本家はこちらからダウンロードできます。
(以下の説明は,PowerPoint 2000 によるものです。以降のバージョンでも同様の機能がありますし,さらにエレガントな機能も追加されていることでしょう)
画面の切り替え
アドベンチャー風ゲームを作る場合には,場面の切り替えのエフェクトが必要です。
(スライドショー -> 画面切り替え)
ここで設定を行うと,ページが切替わる際にエフェクトがかかります。「フェードアウト」や「ディゾルブ」が比較的使えそうです。
チェック項目にある「自動的に切り替え」を使うと,指定した秒数の後で自動的にページを切り替えることもできます。これを使うとドラマティックな演出(?)が可能ですが,普通の発表用スライドに使うのは結構難しい気がします。どういう使い方を想定して実装されているのか……まぁゲームにはいいですけど。
タイプライタ風文字表示
文字が一文字ずつ表示されるエフェクトです。
(スライドショー -> アニメーションの設定)
通常のアニメーション設定画面にて,右側の「テキスト」と書かれた部分を「文字単位で表示」にすることで,タイプライタ風の文字表示になります。アニメーションは「アピール」で良いでしょう。
この機能も,普通のスライドに使うのは難しい,というか使うとかなり鬱陶しくなります。まさにゲームのためにあるとしか思えませんね。
次々にアニメーションを表示する
アニメーションを連続して発生させる方法です。
(スライドショー -> アニメーションの設定)
通常のアニメーション設定画面にて,「アニメーションの開始」を「自動実行」にすると,「アニメーションの順序」に示された通りに次々とアニメーションが実行されます。
サンプルのパワーポイントでは,キャラクタが表示される -> コメント欄が表示される -> 会話が表示される,という風な順序立った演出に使ってます。
「PowerPoint2003」では,いくつものアニメーションを同時発生させることも可能です。自動実行の項目が増えれば増えるほど,あとで見て訳が分からなくなるので,適当なところで別ページに分けると見やすいです。
背景の設定
いちいち背景画像を貼り付けているとファイルサイズが大きくなるので,基本的な背景はスライドマスタに置きます。
(表示 -> マスタ -> スライドマスタ)
スライドマスタに設定した背景は,全ページの背景になります。もともとはスライドのデザインを設定するページなので,何か変な使い方ではありますが。
分岐
アドベンチャーゲームで使う選択肢の作り方です。
(オブジェクトを選択し,右クリック -> オブジェクトの動作設定)
たとえば,文字をクリックしたとき別ページに分岐したい場合は,そのテキストボックスを右クリックし「オブジェクトの動作設定」画面を出します。
ここの「ハイパーリンク」の「スライド...」でジャンプ先のスライドを選べば,「クリックするとシナリオ分岐」の動作が出来るようになります。
この機能も,普通にスライドを作ってたら使いどころが難しいです。ゲームには適してますけど。
マウス通過時のエフェクト
先ほどと同様に,「オブジェクトの動作設定」を開きます。
(オブジェクトを選択し,右クリック -> オブジェクトの動作設定)
この画面では「マウスのクリック」時の動作とともに,「マウスの通過」時の動作も設定できます。「マウスの通過時に強調表示をする」も効果的に使いたいものです。
押すとへこむボタン
Windowsアプリケーションで使われるような,押すとへこむボタンです。
(オートシェイプ -> 動作設定ボタン)ボタンを押したときの動作は,「右クリック -> オブジェクトの動作設定」で他のオブジェクトと同様に設定できます。
このボタンで十字キーを作って,アクションゲーム風ゲームを作ろうとするのもいいでしょう(やろうとして挫折しました……)。Windowsアプリケーションのようなものも作れそう。
複雑なアニメーションを無理して作る
ここからは応用編です。複雑なアニメーションを無理して作ります。
1. パラパラマンガのように,少しずつ動きの変わるスライドをせっせと作る。
2. 「画面の切り替え」を設定する。(スライドショー -> 画面切り替え)
ここで,「画面切り替えのタイミング」を「自動的に切り替え」にし,インターバルは「00:00」にします。もうお分かりかと思いますが,これで超無理やりですが,任意のアニメーションを作成できます。これを駆使すれば本格的なアニメーションも,がんばれば作れるでしょう。あんまりやりすぎると,パワーポイントの動作が不安定になりますけど(やりすぎ注意)。
ただし,物体が動くアニメーションであれば,こんなことをしなくても「PowerPoint2003」の新機能で作れてしまいます。
スタッフロールのようなものを作る
スタッフロール風の表示を作ります。
1. 画面をはみ出してもいいので,テキストボックスを使ってスタッフを列挙する。
2. そのテキストに「スライドイン」のアニメーションをつけてスライドさせる。
ええ,これだけです……。問題は,スクロールが早すぎるという点です。「PowerPoint2003」ならアニメーションの速度を選べるので,多少マシな作りにはできます。
まだいろいろ出来そうですが,書くのが面倒になってきたのでやめます(ぉぃ
応用していろんなゲームを作ってみてください。
ご意見,ご感想等ありましたら,こちらに頂けると嬉しいです。