四国EVラリー2002

8月の24日と25日、愛媛県の新居浜市を中心に、第5回「四国EVラリー2002」が開催された。これは、「公道上で行なわれる国内で唯一の電気自動車ラリーを楽しみながら、クリーンエネルギー自動車の普及を国民各層に呼びかける非常にユニークなデモンストレーション」(パンフレットより)である。
全国から様々な電気自動車(EV)が一同に会し、その性能を競い合った。

私は、けんぢ氏のアシスタントとして、参加。はっきり言って、自動車関係の知識はほとんどないので、今回は完全にアシスタント専門である。
知り合いでは他にも、M氏(電算部OB)のチームと、私の出身高校の元自動車研(今は休部)のチームが参加している。

各チーム、趣向を凝らしたEVを制作してきているのだが、中でも、 けんぢ氏 と M氏 のEVに大きな注目が集まった。何がすごいかって、それはもう、見た目からしてすごい。

ev ev
けんぢ氏EV M氏EV


他チームは大体、既存の自動車の原型をとどめており、いかにも自動車という感じだが、こちらはそれを完全に超越してしまっている。いかにも「自作」といった風貌の、センセーショナルなマシンである。
実は私も、大会の会場で初めて完成品を見たのだが、このあまりに突飛なマシンに度肝を抜かされてしまった。私なんかは、ここまで作り上げた製作者に、ただ脱帽するばかりである。素敵すぎる。

ちなみに、この大会は公道を使ったレースなので、出場するマシンはもちろん車検も通っており、ナンバープレートの交付も受けている。けんぢ氏らのマシンは「ミニカー」という分類に入るらしく、見慣れない「青ナンバープレート」を付けていた。
おもしろいのは、M氏のマシンもミニカーなので、見た目はバイクだがヘルメットをつける義務はないということ。しかしノーヘルだと、絶対に警察に止められるだろうなあ。


1日目

けんぢ氏の選手宣誓で始まった、大会1日目。行なわれた競技は、決められたチェックポイントを回り、ポイント数を競い合う、ディスタンス競技である。走行距離の違うコースがいくつかあり、各チームはEVの性能に見合ったコースを自由に選択できる。

まず行ったのは、一番難易度の低い、第一レグ。"新居浜高専 → ジャスコ → 新居浜駅 → 新居浜高専"の8.80kmのコース。とりあえず、試走といったところか。
私は後続サポート車に乗る、写真撮影係をやった。走行中の写真を見ても分かるが、これは見ているだけでも、かなりおもしろい。すれ違う自動車の運転手、または歩行者、果ては犬まで、100人に100人が振り返るという、すごい現象が起こる。

走行中
走行中


走行はすこぶる順調で、難なく第一レグは走行完了。パドックに戻って充電をし、次は第二レグへと走り出す。コースは、"新居浜高専 → マリンパーク → 八幡神社 → 新居浜高専"の、合計16.18km。 なおもEVは順調。実は けんぢ氏は、去年の大会のとき、途中リタイヤという雪辱を味わったらしく、今回はリベンジに燃えているという。その分、今回のマシン制作には気合が入ってるようで、そう簡単には壊れない、力強いマシンが出来上がったようだ。
第二レグも難なく完走。

この調子で、第三レグ("新居浜高専 → 総合科学博物館 → 住友化学寮 → 新居浜高専"の22.36km)、第四レグ("新居浜高専 → マイントピア別子 → 廣瀬公園 → 一宮神社 → 新居浜高専"の23.41km)も完走したところで、本日の競技時間は終了。
特にこれといったトラブルもなく、順調に競技を終えられたことへの喜びと、明日への期待と不安が交錯する我々であった。(・・・かどうかはよく分からない、あとで考えた)


1日目終了後

出場者が集まるパーティーがあったらしいのだが、私らはお金を払っていなかったため、参加できず。飛び入りで行こうと思ったが、弁当が人数分しかないといわれ、入れてもらえなかった・・・。
しかたがなく外でEVを充電しながら待機していたところ、他の出場者の方のご好意により、余った弁当をいただけることになり、小躍りする。

けんぢ氏のチーム名は「まるび」という。○の中に「貧」と書いて「まるび」。すべて寄せ集めの部品で制作するためこのような名前になったらしいのだが、意外なところでも「まるび」の力が発揮できたようだ。
今日一日、使ったお金は飲み物代だけだった。

二日目に続く・・・。


2日目朝

けんぢ氏の自宅が近いので、M氏と共に、宿を貸していただいていた。
2日目の競技は早朝6時から。4時30分に起きるよう、携帯電話目覚ましをセットしていたのだが、気が付けば5時30分・・・。M氏の元に、元自動車研チームから連絡があったのでよかったものの、それがなければ完全に寝過ごしてしまっていたところであった。履歴によると、目覚ましは8回鳴ったらしい。


2日目

ものすごく急いで、なんとか6時前に会場に到着。着くとすぐにキモチ追い込み充電をし、すぐに出発。
最後はポイントの高い長距離レグを攻めることを視野に入れ、さらに6時間の競技時間を考えた上で、まずは第六レグ、"新居浜高専 → やまじ風公園 → 黒島海浜公園 → 新居浜高専"の36.29kmを行くことに。
朝は車通りも少なく、快適に走行する。これもまた問題なし。1時間ちょっとで完走する。

途中の写真
途中の写真


そして、いよいよ最後に最長の第九レグ、81.57kmを攻めるべく、最後の充電に入る。充電時間約2時間。フル充電でどれだけ走れるかがまだ把握できてなかったらしいので、これが完走できるかは分からない。賭けである。完走できた場合には大量ポイントゲットだが、もし途中で止まって完走できなかった場合は、ポイントが大きく減点されることになるという、諸刃の剣。
---大丈夫だ、必ず完走できる。男たちは言った。自分を、マシンを信じるんだ。・・・そう言って「まるび」は、公道という名の大海へと漕ぎ出していった・・・。プロジェク(以下略)

節電のため、一定の電流値を超えないよう、慎重に走行を続ける。

走行中
走行中


そして、約1時間30分後、チェックポイントである"道の駅今治湯の浦温泉"に到着。
ここまでが33.12km。最終折り返し地点まではあと5km以上あるのだが、大事を取って、結局ここから引き返すことになった。最後まで行くよりポイントは低いが、これ以上走れるかどうか分からない。賢明な判断だったと思う。

余談。この道の駅で、ニュースを見てEVラリーを知ったらしい人たちに出会った。どうやら昨日の地方ニュースで取り上げられていたらしく、「あんたらT大の人たちだよねえ」とまで聞かれる。一体どこからそんな情報が漏れ出しているのかは分からぬが・・・。

地元の人の応援も受け、帰りも順調。アサヒビール工場を経由して、ゴールの新居浜高専へと向かう。 そして出発から約3時間後、結局フル完走とまではいかなかったものの、計70.33kmを完走するかたちで、堂々のゴールに至った。

・・・そんなこんなで、ディスタンス競技は終了した。その後は燃費計測と、加速度テストの後、閉会式となった。


閉会

いよいよ結果発表なのだが・・・なんと、部門別で、けんぢ氏が2位、M氏が3位という、ツー・スリーフィニッシュ! いやぁ、すごい。感動した!

感動した
感動した!


そして、私にとっても、いい経験となった。まわりの人たちが がんばっているのを見て、パワーをもらった気がする。
次回は、NEKOPLAで「乗用ねこ車」を作るとか作らないとか!? そもそも、どうやってねこ車を乗用に・・・。


そんなこんなで

大会は終わり、帰路に着く。途中、高速のSAで知り合いの人たちで集まって晩御飯を食べたのだが、その時に出てきたのが、愛媛名物いよかん漬けなるもの。大会の最後に行なわれた、燃費計測と加速度テストの副賞らしいのだが、これがまた甘いのなんの。砂糖をつけまくりで、身体に悪そうな雰囲気がプンプン漂う。

いよかん漬け
いよかん漬け


メンバー全員が1つずつ食べてギブアップ。どうしようか、と思っていたところに、他のEVラリー参加者の人たちと、偶然居合わせた。名古屋から来ている人たちで、これから8時間かけて名古屋まで帰るという。
その人たちには悪いと思いながらも、そのいよかん漬けを差し上げる。その場で食べたので、どんな反応をするかと思いきや・・・。「美味いから全部もらう」と言って、もらってくれた。うーむ・・・。

(2002/08/26)

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