デイリーポータルZに寄稿しました。
『定礎は南東にあるのか』
http://portal.nifty.com/kiji/150611193778_1.htm
最近気になって集めている定礎ネタです。
定礎は南東にあるのか? という、比較的どうでもいい感じの疑問を確かめるべく、建物の南東角を執拗に調査してみました。
こちらの記事も合わせてどうぞ→ 『定礎観察入門』
デイリーポータルZに寄稿しました。
『定礎は南東にあるのか』
http://portal.nifty.com/kiji/150611193778_1.htm
最近気になって集めている定礎ネタです。
定礎は南東にあるのか? という、比較的どうでもいい感じの疑問を確かめるべく、建物の南東角を執拗に調査してみました。
こちらの記事も合わせてどうぞ→ 『定礎観察入門』
「顔出し看板」(もしくは「顔出しパネル」、「顔ハメ看板」、「顔ハメパネル」)というものがある。
観光地を中心に、全国いたるところに設置されているので、見たことがある方も多いだろう。
先日も『タモリ倶楽部』で特集されたりと、どこかを巡って何かを集める界隈の趣味人(私は「めぐりコンプリーター」と呼んでいる)にとっては、定番の観察対象である。
その概要を知るために、まずは私が見つけた中で面白いと思った「顔出し看板」をいくつか見ていこう。
最近では、人外生物の顔出しも多く見られるようになった。これは鳥タイプ
このような「顔出し看板」は、集めてる人がいっぱいいるので、これ以上の情報は別のサイトを参照して頂きたい。本ブログでは、これを踏まえた上で、「顔出せない看板」を紹介したい。
どんなものなのか、まずは写真を見ていただきたい。
ご覧の通り、顔が出せない看板、これこそが「顔出せない看板」である。
――というかこれ、ただのキャラクターパネルじゃないか?
と思った方もいるだろう。しかし、「顔出し看板」の存在を知っている我々にとっては、これは「顔出せない看板」なのである。
「顔出せない看板」は、「顔出し看板」のカウンターカルチャーであるとも言える。つまり、看板に顔を出したいという人類の欲求に対して、顔を出させないようにすることで反抗の意思を示していると考えるのだ。
顔を出したくても出せないもどかしさ、それが「顔出せない看板」の魅力である。
上の写真は、東北新幹線のキャラクタである。これは顔が出せるようになっている。しかも、子どもが顔出しやすいよう、背が低めになっているのも親切である。
しかし、「顔出せない看板」では、そんなことお構いなしだ。
顔が出せない上に、等身がリアル(というか実写)になっているのにも注目したい。これぞまさしく「顔出せない看板」である。
これは何の変哲もない「顔出し看板」のようだが、よく見て欲しい。その横に、何食わぬ顔で石像(トルハルバン)の看板が立っている。「顔出し看板」があることで存在が希薄になっており、普通の人なら気付かずに通り過ぎてしまうだろう。しかし、私の目は誤魔化されない。お前は「顔出せない看板」だ!
なお、「顔出し看板」にも「顔出せない看板」にも属さない看板も発見されている。それが、この「首乗せ看板」である。
「定礎」について考えたことがあるだろうか。ビルのエントランス部分などにある、石に刻まれたアレである。
「定礎」とは一体何なのか? 何のためにあるのか? というのは気になるところだけれど、私も詳しくは知らないので、その辺は別のサイトを見て頂きたい。
ここでは、そういう役に立ちそうな知識ではなくて、「定礎」という物体そのものが持つ様式的な面白さに迫っていきたい。
――とは言ったものの、実のところ私も定礎に関しては全くの初心者である。そもそも、定礎が面白いのかどうか、それすらもまだよく分かっていない。「何か定礎が面白そうだ」という気配を感じた段階であり、全てはこれからの話なのだ。
普段なら、ある程度理解が進んだ段階で「定礎のこんなところが面白いんですよ!」という記事を書きたいところだ。しかし、せっかく入門者という立場に立っているのだから、私が定礎に詳しくなっていく様子を書いてみるのも面白いんじゃないか、と思った。今回は、その入門編である。
そんなわけなので、これから私と一緒に「定礎」の世界へと足を踏み入れていきましょう。
定礎は、何食わぬ顔で我々の日常生活に溶け込んでいる。それゆえ、ほとんどの人は定礎を意識することはないし、「石に『定礎』っていう文字が書かれている」くらいの認識しかないだろう。
よって、まずはいろんな定礎を眺めてみることが必要であろうと考えた。
今回は最初ということで、「とりあえず定礎の写真を20枚集める」というのを目標にして、ビルが屹立するビジネス街をさまよってみることにした。
そうして集めた定礎が、これである(結果的に21個集まった)。
ビルばかりの場所を歩いたので、20個くらい簡単に見つかるかと思いきや、探してみると意外と見つからない(1時間半かかった)。きっとこれは、定礎初心者がぶつかる最初の壁なのではないかと思った。
そんな定礎探索に関する諸問題について、まずは共有しておきたい。
私は、なんとなく「定礎はビルのエントランスにある」というイメージがあったため、そういう部分を重点的に見るようにしていた。
たしかに、ほとんどはビルのエントランスにある。しかし迂闊だったのは、大きなビルになるとエントランスがいっぱいあって、どこを見ればいいのかさっぱり分からないのだ。そのくせビルは巨大なため、周囲をぐるっと回るだけでも大変な労力なのである。
そして、苦労してビルの周囲を探索しても、必ずしも定礎があるとは限らないのであった。
定礎は石に刻まれており、それについては今回集めた21種類の定礎の中で例外は見つかっていない。しかし、石と言ってもいろいろあるのだ。そう、なんとか石とか、なんとか石とか……(石の名前は分からないので誤魔化した)。
その石の種類によっては、刻んであるんだかないんだか、さっぱり分からない場合がある。
例えば、こんな定礎。
これは写真の撮り方が悪いのではなくて、肉眼で見てもあまり変わらない。石の模様の主張が強すぎて、掘った部分の影がよく見えず、結果として定礎があるのかないのか分かりづらくなっているのだ。
こういう定礎を、私は「ステルス定礎」と呼ぶことにした。
最後は、環境要因である。これらの定礎を見て欲しい。
定礎の前に物が置かれたり、扉で隠れたり、植物が茂っていたりする。なので回り込んだり、かがんだりと、姿勢を変えないと定礎が見えないのだ。「定礎の前に物を置くなんてとんでもない!」と言いたいところだけど、そんな理屈は聞いたことがないので、まあ仕方がないのかなと思う。これに関しては注意深く探すほかない。
このタイプは「隠れ定礎」と呼ぶことにする。
—
さて、そんな苦難を乗り越えて集めた定礎。まだサンプル数が21個ということで、深い考察や分類はできないのだけれど、それでも観察してみて初めて気付くことがいくつかあった。
ここからは、定礎初心者の私なりに気になった点を見ていきたい。
これは何かというと、「定礎」という文字が刻まれている石と壁材との関係である。
上の写真の定礎は、壁材とは違う種類の石が壁に埋め込まれている(あるいは貼り付けられている)。
一方で上の写真の定礎は、定礎の文字が壁に直接刻まれていることが分かるであろう。
前者を「定礎石分離型」、後者を「定礎石一体型」と呼ぶことにしたいと思う。
ちなみに今回収集した21種類のうち、分離型と一体型の比率は5:16となり、一体型(壁に直接刻まれている)の方が多数を占める結果となった。
私の中では、定礎というと「壁にプレートが埋め込まれている」というイメージがあったため、この気付きは意外なものであった(もちろんもっと数を集めないと分からないけれど)。
定礎の文字は、毛筆体で書かれているというイメージがある。そしてそれは、ほとんどの場合当たっているのだけれど、よくよく見るともっと別のことに気付いた。
きっかけは、この定礎である。
「字が下手」なのだ。
前に、なんとか大臣が「○○省」の看板を手書きして、それが下手くそだと話題になったことがあるけれど、これも同種のものだと思われる。ビルのオーナが毛筆で書いた文字をそのまま石に刻んで、こんなことになったのだろう。
そういう目で定礎の文字を見てみると……
同じ毛筆の「定礎」でも、どれも微妙に違っていて、個性があることに気付くだろう。こういうのはフォントを使ってるものだと勝手に思い込んでいたが、実は「誰かの手書き文字」なのであった。
どれをみても、全部違って、全部良い。
これは重要な観察ポイントになり得ることを確信した。
一方、定礎に付随する「年号」部分の文字はどうだろう。これは、「定礎」と違ってフォントだったり、そうでなかったりするようだ。
西暦だとフォントで、
和暦だと手書き、というのがパターンとしてある気がする。
そんでもって、この年号の書き方にも特徴があった。一番面白かったのは、この定礎。
年号が縦書きになってるのは珍しい感じがするし、右は和暦で「昭和五年五月」、左は西暦で「紀元千九百三十年」と書かれている。何でこんな書き方をしてるのか分からないけれど、言い換えればこれくらい自由でいいのだ、定礎というやつは。
「定礎」と書かれていない定礎もあった。
上の写真は、その様子から明らかに定礎だと分かるのだけど、「定礎」とは書かれていない。定礎は、「定礎」と書かれていなくても、はっきりと定礎なのだ。人間の認知能力の高さに感心せざるを得ない。
ところで、この定礎っぽいものには “Erbaut” と書かれており、それは何とドイツ語の「定礎」に当たる単語なのであった。
定礎初心者の私でも、英語の定礎があるのは知っていたが、よもやドイツ語の定礎があるとは思いもしなかった。もっとワールドワイドな視点を持たなければいけないなあ、と思った次第。
以上、定礎観察の最初の一歩として、私が適当に定礎を観察をしてみて分かったことを書いてみた。
当初はなんてことのなかった定礎が、なんだかとっても面白いものに見えてこないだろうか?
分類が好きな私は、こんな風に何でも集めて分類して、しまいには勝手に名前を付けてしまう癖がある。
定礎を探しているときも、絶えず「この定礎は他の定礎と比べて何が違うか」というのを考えていて、定礎間の差分を抽出している。
そうして特徴的な差分が見つかると、それを手がかりにして分類が可能かどうかを考え、今ここに書いたようなテキストにして体系的にまとめていく。
分類の仕方は、最初のうちは曖昧な感じで構わない(上の文章も、きれいな分類にはなっていないと思う)。何しろ、今回は21個の定礎しか見ていないため、まだまだ出現していない定礎のパターンがあって然るべきなのである。その辺は、今後の観察を通じて適宜修正していけばよい。
肝心なのは、こうした勝手な分類を積み重ねることで、自分の中での「定礎像」が出来上がっていき、だんだんと定礎を見る目が変わってくる、ということである。
そして次第に、新しい定礎を探し出すということが、まだ見ぬ定礎への渇望へと変わっていく。定礎を見つけることに喜びを感じ、たまに突拍子もないものが見つかると、勝手に盛り上がって大喜びしたりする。なんてことはなかった定礎が、とても楽しい観察物に変わる瞬間である。
もう少し定礎に関する造詣が深まったら、続編を書こうと思っている。
—
余談。
ところで、何でいきなり定礎に興味を持ったかというと、最近作った「Web定礎」という、Twitter連動のウェブサービスがきっかけである。
「Web定礎」は、「誰でも簡単に定礎ができる」というのをモットーに、Twitterのタイムライン上に投稿日(定礎日)と自分のIDの入った定礎画像を投稿することができる。
定礎しました。→ http://t.co/nwSnBO4dfL pic.twitter.com/AsKqDMHj2B
— NEKOPLA 斎藤 (@kawausokawauso) August 18, 2014
何のことやらさっぱりだと思うが、私もさっぱりだし、さっぱりだけども良いサービスだと思うので、気になった方はぜひ使ってみて下さい。
→ Web定礎
星の数ほどある駐車場のなかには、管理人の欲がにじみ出た駐車場が存在する。
ここでは、そんな駐車場を「よくばり駐車場」と名付け、それが如何に欲ばっているかを観察したい。
欲レベル:★★
土地の形が悪く、広さの割に4台しか止められない駐車場。そこに、なんとか5台目のスペースを確保したのが本物件である。
3番と4番の車が出られるかどうかは、全て5番の止め方にかかっている。
駐車スペースを確保したいという一心で、置き方は使用者に委ねるというこの謎のスタンス。
そして、ただでさえ狭いのに、こんもりとした植木を置いてしまう点もよくばりである。
欲レベル:★★★
木と電柱のワイヤに阻まれた、魔の37番。
木を切るなんて選択肢はない。木があっても止められるんだから、木を切る必要はないという、管理人の確固たる意思が感じられる。
他の駐車スペースよりも幅は広いし、木陰にもなって涼しかろう。そんな風にポジティブに考えられる人にとっては、よい駐車スペースかもしれない。
欲レベル:★★★★★
この駐車場の欲深さは、最初から3台止められる駐車場として設計されているところに表れている。
つまり、取って付けたような狭い斜めの駐車スペースが、この駐車場の「1番」なのだ。決して、取って付けた訳ではないのだ。
果たして、この1番に止められる車はあるのだろうか。そして、2番の車は出し入れ可能なのか。
いろんな疑問が頭をよぎるが、ここの管理人はきっとそんなことなんて微塵も考えていないに違いない。
なぜなら、ただでさえ無理のある1番に、堂々と自販機を設置してしまうのだから!
あゝ、人間はなんと欲深い生き物であることよ。
ポストの向きって、気にしたことあるだろうか。
(※ここでは、ポストの向き=投函口を正面としたときの向きを指すことにする)
ここに、何の変哲もない路傍のポストがある。
このポストの向きを観察してみよう。
一目瞭然ではあるが、人が歩く方向(動線)に対して、垂直の向きにポストが設置されている。どの方向から来た人にも投函しやすい向きを考えると、このポストの向きは必然であると言える。
他のポストも見てみよう。例えば、次のポストは少し変な場所に設置されている。
木の根元に生えるように立っていて、周りがやけに混雑しているポストである。しかし、このポストも例外ではない。
先ほどのポストと同様に、ポストの向きは、動線方向に垂直となるよう設置されている。
そうなのだ。ポストの向きって、普通に考えるとほとんど一意に決まるのである。
—
さて、一般的なポストの向きについて理解が深まったところで、次は設置場所に応じたポストの向きを見てみよう。
● 歩道上にあって、車道側にあるポスト
もちろん車道の方に投函口があるはずはないので、ポストは車道に背を向けて、歩道に向いて立っている。
● 歩道上にあって、建物側にあるポスト
これも当たり前だけれど、建物の方に投函口があると歩行者にとって不便なので、ポストは建物に背を向けて、歩道に向いて立っている。
また、歩道がなくて路側帯(もしくは直接建物)に設置されたポストは、必然的に建物に背を向けて、道路に向いて立っている。
● 広い空間に設置されたポスト
これは大きな駅前なんかでよく見られるタイプで、ポストの周囲が空いているため、どの向きにも自由に設置できるポテンシャルを持っている。しかしこの場合も、通常は一番広くて人通りが多い歩道に向けて立っている。
—
と、ここまで観察してみると、「ポストの向き」について関心が沸いてきただろうか。
そうなると、次はいままで見てきたポストとは異なる向きのポストが気になってくるはずである。何事にも、「一般」があれば「例外」があるのだ。
● 壁を背にするポスト
この2枚の写真は、どちらもこれまで見てきた「ポストの向き」の法則に反している。つまり、ポストが動線と並行の向きに設置されているのである。
写真奥の方から歩いてきた人は、ポストへ投函するために一度方向転換しなければならない。また、そこにポストがあること自体を見落とす可能性もあるだろう。これまでの典型的なポストの向きからすると、少しばかり不親切なポストであることは明らかだ。
しかし、この苦渋の配置(憶測)に至るまでには、きっと何かしらの理由があったに違いない。それに、「壁を背にしている」ところを見ると、その気持ちは分からなくもない。例えば駅で待ち合わせをするとき、コンコースのど真ん中に立っているより、柱に寄り添って立っていた方が安心するだろう、その原理である。
さて問題なのは、次のタイプのポストである。
● そっぽを向いたポスト
ここまで読み進めた方は分かるであろう、このポストの向きの異質さが。動線の方を向いているわけでもなく、壁を背にしているわけでもなく、宙ぶらりん。一瞥しただけで、「ちょっと、あんたどこ向いてんの!」って叱ってあげたくなる。
これはまるで、人間にそっぽを向いて、ハガキの投函を拒んでいるかのようだ。なので、このタイプのポストを「そっぽポスト」と呼ぶことにした。
ああ、ポストよ。どうしてそんな方を向いているのか。こっちの気も知らず、ポストは黙って明後日の方向を見続けている。我々人類がそうであるように、ポストにもいろんな気分のやつがいるのだと、「そっぽポスト」は気付かせてくれた。
ポストの向きを観察していると、思わぬポスト社会の闇に足を踏み入れそうになる。普通のポストの影に隠れて、ひっそり存在している「そっぽポスト」。もっとその存在に目を向けてあげるべきである。
街を歩いていると、いろんなDIY物件とすれ違う。DIY物件とは、いわゆる日曜大工の産物であり、つまりは個人がつくった工作物である。
それが屋外に置かれている場合は、例えそれをつくった本人が意識していなくても、自分の作品を外に向けて公開していることになる。インターネットで公開された創作物のように、全世界の人々に観てもらうというわけにはいかないが、少なくともその家の前を通った人たちは、そのDIYの成果を観ることができる。
そう考えると、実は街中のいたるところにDIY物件が展示されているのだ。
次の写真は、私の実家の犬小屋の前にあったDIY物件である。
犬の様子を見るネットワークカメラを屋外に設置するため、雨風をしのぐ目的で木箱が設置されていた。何かの箱を流用したのかもしれないけれど、これぞまさしくDIY物件である。これのおかげで犬をネット経由で見ることができるため、私もたまにスマホから実家の犬の様子を眺めたりしている。
しかしながら、この木箱はあまりに実用的で、形も整いすぎている。DIY物件としては申し分ないけれど、作品として鑑賞するには今ひとつなのである。私は、もっと味わい深いDIYを欲しているのだ。
そう、例えばこういうの。
●「味わいDIY」作品 No.01
このDIY物件に意味を求める必要は全くない。パッと見た瞬間の、何とも言えない漠然とした不安感を味わえただけで私は満足だった。実に味わい深いDIYである。
そう、これが「味わいDIY」なのである。
「味わいDIY」とは、街に展示されている味わい深いDIY作品(作者は全く意図していないと思うが、ここでは作品と呼ぶ)のことである。
先に述べたように、個々の作品は外に向けて公開されている。しかし制作者本人は、それを公開しているという意識すらない(と思われる)のが「味わいDIY」の特徴である。あくまでそれはDIYであり、観察者(私)がそれを作品と見立てたというだけの話であって、「味わいDIY」がDIYの範疇を超えることはないのだ。
●「味わいDIY」作品 No.02
これが何を意図したものなのかは、同じく全く考える必要はない。ただそこに存在する、この味わい深いDIY作品を観察するのみである。羽。ミスターサタン。バネ。ピカチュウ。
●「味わいDIY」作品 No.03
●「味わいDIY」作品 No.04
●「味わいDIY」作品 No.05
「味わいDIY」の特徴のひとつは、適当さである。この3つの作品に共通するのは、まさに適当さ。几帳面にやっていたなら、この味わい深さは生まれなかったに違いない。
●「味わいDIY」作品 No.06
●「味わいDIY」作品 No.07
●「味わいDIY」作品 No.08
かと思えばこの3つの作品のように、制作者の几帳面さ伝わってくるものもある。一見適当のようにも見えるが、きめ細やかさが垣間見られる部分があり、全体として上手くまとまっているのだ。適当な「味わいDIY」、几帳面な「味わいDIY」、どちらも味わい深いものである。
●「味わいDIY」作品 No.09
●「味わいDIY」作品 No.10
●「味わいDIY」作品 No.11
その他、「味わいDIY」の味わい深さには、文字(フォント)が寄与するところも大きい。
●「味わいDIY」作品 No.12
●「味わいDIY」作品 No.13
●「味わいDIY」作品 No.14
あとなぜか、みんな椅子を作りたがる傾向がある。特に酒のケースに木の棒を乗せて椅子をつくるのは、「味わいDIY」界における一種のムーブメントとも言える。
●「味わいDIY」作品 No.15
●「味わいDIY」作品 No.16
●「味わいDIY」作品 No.17
つい見落としがちな、こういった素朴な作品にもきちんと目を向けていきたい。
●「味わいDIY」作品 No.18
最後に、よりDIY色の強い「味わいDIY」をひとつ。エアコンの室外機に何かを施そうとしており、これぞまさにDIY。この制作者が一体何をしようとしているのかは特に考える必要はない。私はただ、目の前にある味わい深い室外機を観察するだけである。
これまでいろんな「味わいDIY」を見てきたが、改めて「街はDIY作品展の会場」だということを強く感じる。ふとした場所に、思いがけない「味わいDIY」があったりするのだ。それを発見したときの喜びと感動は、発見した人にしか味わうことができない。
「味わいDIY」を味わうために、私は今日も広大な会場内を探索し続けるのであった。
電子機器を傷や衝撃から守りたい! という欲求は多くの人にあるようで、最近はスマホに保護ケースや保護フィルムを付けてる人がほとんどである。電気店に行ってみたならば、そこには一面の保護ケース畑が広がっており、保護需要の高さを伺い知ることができる。
そんな保護欲求は、スマホのみならず、エアコンの室外機にもあらわれている。液晶に保護フィルムを貼るような感覚で、エアコンの室外機にも様々な保護がなされるのである。観察してみよう。
●これは違う
勘違いするといけないので、まずは”これは違う!”というものを紹介。
↑ これはエアコンを守ってるのではなく、温風の吹き出る向きを変えるためのもの(ルーバー)なので、今回の趣旨からは外れる。
↑ とはいえ、このような手作り感あふれるのもある。ふんどしみたいになってるし、これはこれで良い。
●檻タイプ
ここからが室外機を守るものたちである。
まずは、室外機を檻で囲って、外敵を完全にシャットアウトするタイプ。
↑ 比較的、隙間の大きい檻。バールのようなもの程度の攻撃なら防げるが、長い槍のようなもので攻撃されるとダメージを受けるかもしれない。あと脇が甘い。
↑ さらに強化された檻。これなら槍での攻撃も防げるかもしれないが、逆にメンテナンスするときは大変そう。
↑ 攻撃を防ぐだけではなく、周囲の景観に配慮して設置されていると思われる檻もある。
●日よけタイプ
「室外機も暑かろう」という、所有者の心意気があらわれる日よけタイプ。猛暑のなか室外機は頑張ってくれているので、本当は室外機もエアコンの効いた部屋に待避させてあげたい! と思っている方もいるかもしれない(矛盾)。
(注: 本当のところは、室外機の温度上昇を防ぐことで、排熱効率を高める効果があるとされます)
↑ まずは控えめな日よけ。車のサイドガラス用の日よけを流用していて、「まぁ、気持ち涼しいかなー」程度。
↑ 凝ってくると、だんだん自作したくなるのだろう。ただ丁寧に作ってはあるけれど、ひさしの部分が短くて、何のために置いてるのかよく分からなくなっている。もしかすると、近隣住民に植木鉢を乗せられないよう、わざと傾斜を付けたのかもしれない。
↑ さらに凝り出すと、このようなちょっとした家みたいな佇まいになる。
↑ そして、日よけの他に檻も兼ねているタイプ。これが涼しそうかと言われるとそうでもなく、逆に室外機の排熱性能が落ちている可能性もある。あまり過保護すぎるのも考えものである。
↑ さらに過保護な例。上に伸びる配管と、足下の台座を見ないと、もはや室外機であることすら分からない。逆に暑苦しく感じてしまう。
●鳥よけタイプ
鳥よけが付いてるタイプ。あまり見かけない。
↑ 屋根にも鳥よけが付いてるし、ここの家主は相当の鳥嫌いに違いない。
●小便よけタイプ
最後に、小便よけ。
↑ なんだかんだで、この守り方が一番強そうな気がした。
「謎のおっさんコック人形」の謎に迫りたい。
謎のおっさんコック人形とは何か。それは、この人形のことである。
これは、ビジネスホテルチェーン「東横イン」の朝食コーナに置かれている人形である。全店にもれなくあるのかは分からないけれど、私がこれまで泊まった東横インには必ずこの人形が置かれていた。東横インをよく利用する方にはお馴染みの人形だと勝手に思っている。
さて、このおっさんの様子をよく見たうえで、次の写真を見て欲しい。
これは、近所の喫茶店の店頭に置かれている人形である。これを見て何かに気付かないだろうか。そう、東横インのおっさんとそっくりなのである。
並べて比較してみよう。
比べるまでもなく明らかに別の人形なのだが、そのモデルとなったおっさんに以下の類似点が見られる。
ここまでくると「偶然似てしまいました」というレベルではない。これは明らかに、モデルとなった人形が存在しており、その人形から派生して類似の人形が作られている、と想像できる。
その「モデルとなった人形」とは何なのか? 実のところ、現時点では不明である。冒頭で“「謎のおっさんコック人形」の謎に迫りたい” などと意気込んでみたものの、全く謎には迫っていない。なにせ本ブログは「日常想像研究所」というくらいなので、あとは想像で補うしかないのである。
……とは言うものの、実はすごく気になっている。もしこれをご覧になっている「謎のおっさんコック人形」の関係者の方がいましたら、ぜひこの謎について教えて頂きたいです(他人任せ)。
最後に、ウェブ上で見つけた「謎のおっさんコック人形」をまとめておく。これを見ると、大小様々なバリエーションがあるのが分かるけれど、やはりモデルは同じおっさんであることは間違いない。謎のおっさんの謎は深まるばかりである。
—
※以降の写真は、出典として記載したサイトに掲載の写真を研究目的で引用させて頂きました。ご都合が悪ければすぐに対応しますので、お知らせ下さい。
出典: http://deko0625.at.webry.info/200708/article_5.html
出典: http://iris-kaitori.com/result/goods/detail3225.html
出典: http://lightpiggy.exblog.jp/11536021/
出典: http://toucher.blog82.fc2.com/blog-entry-1131.html
出典: http://www.toy-garage.jp/products/detail.php?product_id=2532
出典: http://portal.nifty.com/kiji/130222159669_3.htm
出典: http://blogs.yahoo.co.jp/japangibier/33999348.html
出典: http://tabelog.com/kanagawa/A1403/A140310/14010858/dtlrvwlst/4131730/12933823/
出典: http://blogs.yahoo.co.jp/japangibier/34027046.html
最近ハマっているモノのひとつに、「ぴたん機」がある。ぴたん機とは(私が勝手にそう呼んでいるだけなのだが) 「壁にぴったりハマっている自販機」の略称である。
これまでに見つけたぴたん機の一部は、前回の同人誌「まちかどフリップフロップ」でもネタにしたのだけれど、ここで改めてその様子を観察してみたい。
ぴたん機がどんなものなのかは、写真を見ると一発で分かるであろう。これが、ぴたん機である。
元は通路があったと思われる場所に、ぴったりとハマった自販機。自販機に向かって左側は壁で、右側は塀になっているので、見事にジャストフィットしているのが分かると思う。
これも分かりやすいぴたん機である。三つ並べてぴったりという辺り、かなり実現難易度が高い、奇跡的にぴったりな物件である(三連ぴたん機)。
ぴったりハマるのは壁と壁の間だけではない。このように、電柱と家の間にぴったりとハマったぴたん機もある。
そして自販機だけではなく、時にはゴミ箱も一緒にぴったりハマるのだ。
自販機の横幅はもちろんフリーサイズであるわけもなく、数種類のサイズの中から選べるだけのようである。それなのに、このぴったり感。自販機のオーナーが設置場所の幅を測定をしてみると、偶然にして自販機の幅とぴったりだったのである。そのときのオーナの驚きと喜びっぷりは想像に難くない。このようなプチ奇跡を追体験できるのも、ぴたん機の魅力の一つなのである。
ところで、このぴたん機にもいくつかの種類があり、分類が存在する。
まずは一つ目、「人工ぴたん機」を見ていこう。人工ぴたん機には以下のようなモノがある。
これはいかにもぴたん機であるが、よく見るとぴったりハマっている部分の壁が妙に新しい。おそらく、自販機をぴったりハメるのを想定した上で新しい壁を作ったものと思われる。
このぴたん機は分かりやすい。向かって左側のブロック塀が半端な位置で切断されていることから、元々は一続きの塀だったものを、自販機をハメるためにわざわざ切り取ったというのが分かる。
これは一見すると判別が難しいが、トタンの様子から推測するに、元は壁だったところに穴を空けて自販機を設置したものと思われる。
以上の例から分かるように、自販機の幅に合わせて壁を切り抜くなどして人工的に作られたぴたん機、それが人工ぴたん機なのである。
さて、そんな人工ぴたん機と対照的なのが、「天然ぴたん機」である。天然ぴたん機は、そのハマり方も天然なのだ。
限られたスペースに、真にぴったりハマっている自販機、それが天然ぴたん機。その上手いハマりっぷりを見ると、よくやった! と思わずにはいられない。
このぴたん機は印象的である。そこは明らかに松本さんちの門であり、門を犠牲にして自販機が設置されている。天然ぴたん機のお手本のような存在である。よく見ると、ゴミ箱は溝にハマっている。
最後に紹介するのは、たばこ屋のぴたん機。向かって左が天然ぴたん機である(右のは普通の自販機)。そして中央のシャッター部分は、たばこ屋のおばちゃんが対面販売をする売場であろう。たばこの自販機にぴったりと挟まれた、たばこ屋のおばちゃん。そんな愉快な風景が想像できる、美しい配置であった。
ここで紹介しているようなぴたん機は、実はそんなに珍しい存在ではない。少し気にしながら散歩をしていれば、きっとすぐに見つかることであろう。私たちの日常生活のすぐそばに、ぴたん機はぴったりと寄り添いながら存在しているのである。